第三者調査委員会の報告書を読んで考えた日大アメフト部問題

最近、マスメディアをほぼ断っているので、
昨日、知人のSNS投稿を見るまで知らなったのだけど、
現在、日大のアメフト部が、大きな事件として取り上げられてるんですね。

まったくこの件のことを知らなかったのだけど、
知人の投稿内容からすると、
事件そのものと、マスメディアの過熱報道が相まって、
歴史ある日大アメフト部が廃部の危機を迎えているということのようで。

マスメディアやSNSというのは、チラシ広告のようなものだと思った方がいいだろうな、
と最近思ってる。
「こういうモノやコトがありますよ」
を知るきっかけとしてはいいけれど、それ以上のものは得られない媒体。
煩悩を刺激するだけで、深い思考は促さない媒体。

なので、ニュース記事はさらっとだけ読んで、
日大のホームページに置かれていた、第三者調査委員会の報告書を読んでみた。
そしたらこれが、言い方は不謹慎かもしれないけど、むちゃくちゃ面白かった。
これ、思いっきり、組織あるあるじゃん。

www.nihon-u.ac.jp

何月何日に誰が何をした、何を言った、
までの超具体的なレベルで詳細が書かれていて、
この件に関する大人たちのグダグダっぷり、迷走っぷりが、目に見えるようだった。

「手書きのメモにはこう書いてあるけど、正式な議事録では省かれている。議事録の方の記載は後から削除した可能性あり」
みたいなことまで書かれていて、すごいな、そこまで調査してるんかい。

三者調査委員会の報告書なんて、初めて読んだけど、
こんな面白いものだったのか。


大人たちのグダグダっぷりが、結局、色々なことが後手後手に回る結果となって、
伝統あるアメフト部を廃部の危機に導くわけだけど、
読みながら、
「でも、私もこの中の登場人物の一人だったら、同じような行動を取っちゃうかもなーーーー」
と正直思った。

生徒から、なんか薬物に手を出している部員がいるらしいって相談を受けた。
由々しき事態だと思うけれども、
どうすればいいかわからない。
同僚が知り合いの警察に相談してみたら、現行犯でなければ立件は難しいって言われたらしい。
なるほど、そういうものなのか。
じゃあ、警察に伝手のある同僚に、この件はお任せしてていいのかな?
変に大ごとにして、大会参加ができなくなったら、そっちの方が大変だ。
そう思いつつも、でも、やっぱ気になるから、問題の生徒には、
「お前、本当にやってないのか?」
と問いただしてみる。そしたら、やっぱり黒っぽい。
あぁ、どうすればいいんだろう……。


「自分がこの登場人物だったら、どういう選択や行動をしていればいいんだろう?」
と読みながら考えてみたけど、正直わからなかった。
いやだって、わからないよ。大麻事案なんて、経験ないし。

そして、この人たちも、そうだったんだろうな、と。
彼らのグダグダな行動の理由は、
「どうすればいいかわからなかった」
の一言に尽きるんだろうな、と。

調査報告書を読みながら、
「え、そこで、保管しちゃうの!?」
と、おいっとツッコミを入れたくなる箇所もあったけど、
どうすればいいかわからないから、とりあえず蓋をしておけば、
時間が解決してくれないかなー、
と思ってしまう人間の心理というのも、わからなくはないかなー、なんて思ったり。


じゃあ、どうすればいいのかな。
と考えてみて、
マニュアルがあったらいいかもな、
と思った。

会社で
「自端末がウィルス感染した気配があったら、
速攻でネットワーク切断して上長に報告しましょう」
というのと同じ感じのマニュアル。

あれ、昔は何も決まっていなかったから、
「なんか、今、おかしな添付ファイルを開いてしまったかも…??
 いや、でも、PCは問題なく動いているし、きっと大丈夫だろう…。変に騒いだら、怒られるだけだ…」
と思って、そのまま放置して、部署全体がウィルス感染して大変なことになる、
みたいな話もあった。

マニュアルって、
「それに従って行動していれば、怒られないですよ」
というもので、
何でもかんでもマニュアルにすればいいってものではないけど、
こういう不測の事態、
どれだけ考えても、何が正解か最善か、自分一人では判断がつかないけれども緊急を要するケースには、
あった方がいいものなのではないかな、と思った。

調査委員会の報告書の中では、
危機管理規定が形骸化していて機能していなかった点が指摘されているけれど、
それは、現状の危機管理規定が、「これに従えば大丈夫」という安心を与えるマニュアルではなかったということなのだろうな、と思う。

廃部にしたところで、真面目にやってきた生徒が泣くだけで問題は何も解決しなくて、
結局、またいつか別の場所で同じようなことが起こるだけ。
本当の解決のための行動というのは、
未来で同じことが起こっても、別の選択を取れるような手を打つこと。

SNSを通じて、学生が薬を入手してしまえる世の中で、
学校の中だけで何とかしなさいね、
というのも無理があるように思う。
特に大学なんて、
生徒の自律性を尊重することと、大人による抑止力のバランスをどうとるか
とても難しいところだろうし。

今回のことを機に、大学、警察、アメフト連盟等の関係者間で
今の世の中に沿った、組織横断的なマニュアルやエスカレーションルールを策定してみる、
というのも、対策としてありなんじゃないかな。

なんてことを、第三者調査委員会の報告書を読みながら考えた。


というわけで、廃部撤回を求める署名活動も行われているので、
廃部は違うんじゃない?
と思う方は、ぜひ。

www.change.org