レ・ミゼラブルの時代背景を知りたくなって、
図書館に行って、ちょうど良さげな本を借りて読んでみました。
- 作者: ジョンプラムナッツ,John Plamenatz,高村忠成
- 出版社/メーカー: 北樹出版
- 発売日: 2004/10
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
高校の頃、それなりに世界史が好きで、
特に18,19世紀あたりのフランスとかオーストリアとかドイツとか、
興味持って授業を受けてたと思うんだけど、
全然、フランスのこと知らなかったんだな〜、
と実感。
フランス革命があって、その後、恐怖政治行われて、でもテルミドールの反動があって、
それからナポレオンが出現して……という大まかな流れは知ってたけど、
でも、なんかこうまっすぐと民主主義国家へと進化していったようなイメージがフランスにはあった。
でも、実は、すごい内乱ごたごたの繰り返し。それもほんの150年前のこと。
現在、中東が内乱でバタついているけれど、
実は先進国とか名乗ってる国々も、ほんの少しの時間の差があるだけで、
そんなに変わらない歴史を歩んでるんじゃなかろうか。
まぁ、ただ、その150年の間に、核兵器が開発されちゃったから、
状況はよりややこしくなってしまっているのかもしれないけど。
そして、色々な変遷を経て、フランスが共和政へと落ち着くのだけど、
それは誰かカリスマ的な存在がいた、とか、国民が一致団結して、とかではなく、
内乱に嫌気のさした多数の国民の妥協の結果、みたいな感じで。
民主主義って、やっぱそういうものかもな〜、と思った。
この本の中には、「反動」という言葉がたくさん出てきたけど、
社会改革っていうのは、振り子のようなもので、
大きな振れがあって何かが大きく変わろうとするけれど、
それでガッと変わってめでたし、めでたしにはならないんだ。
そこからしばらく振り子が右へ左へ揺られて、
そうして、やがて静かに収まっていく。
そういうものなんだろう。
レ・ミゼラブルっていうのは、そういう、
振り子が右へ左へとまだ大きく揺られていて、
どこへ収まろうとしているのかわからない、
ひどく不安定なフランス社会を背景に描かれた物語だったんだなぁ。
揺られながら進化する社会を背景に、
揺られながら進化する人間について描かれた物語。
そう思いながら、レ・ミゼラブルの話を思い起こしてみると、
また別の感慨が(ー_ー)ウーム
さて。
色々つらつら書いてきた『レ・ミゼラブル』の感想もこれで終わり。
最後に、レ・ミゼラブルの舞台と時代について
自分なりに整理した資料をば。
西暦 | 史実 | 物語 | |
---|---|---|---|
1789 | フランス大革命 | ||
第一共和制 | 1792 | ルイ16世、処刑 | |
1794 | テルミドールの反動 | ||
1795 | ジャン・ヴァルジャン、一片のパンを盗み、投獄。トゥーロン徒刑場へ | ||
1799 | プリュメール18日のクーデター。ナポレオン、統領に | ||
1802 | ユゴー、誕生 | ||
第一帝政 | 1804 | ナポレオン戴冠式 | |
復古王政 | 1814 | ナポレオン失脚、エルバ島へ配流 ルイ18世即位 |
|
1815 | ナポレオン百日天下 ワーテルローの戦い |
ポンメルシー大佐(マリユスの父)、テナルディエに助けられる ジャン・ヴァルジャン、ビヤンヴニュ司教と出会う(銀の燭台) モントルイユ・シュル・メールへ行き、マドレーヌを名乗る |
|
1817 | ファンチーヌ、トロミエスに捨てられる | ||
1818 | ファンチーヌ、テナルディエ夫妻にコゼットを預ける(コゼット2歳) | ||
1820 | ジャン・ヴァルジャン、市長に | ||
1823 | シャンマチウ事件。ジャン・ヴァルジャン、再びトゥーロン徒刑場へ。 オリオン号事件。脱走 ジャン・ヴァルジャン、コゼットを引き取る。パリのゴルボー屋敷へ |
||
1824 | ルイ18世、死去。シャルル10世、即位 | ジャヴェールから逃亡。プチ・ピクピュス修道院へ | |
1827 | ポンメルシー大佐、亡くなる。マリユス(17歳)、ジルノマン邸を出る。 | ||
1829 | ジャン・ヴァルジャン、コゼット、プリュメ通りへ移住。リュクサンブール公園にてマリユスとコゼット出会う | ||
七月王政 | 1830 | 七月革命。オルレアン公ルイ・フィリップ、即位。 | |
1831 | ゴルボー屋敷事件 | ||
1832 | 4月。マリユスとコゼット、恋人に 6月6日。バリケード 6月7日、ジャヴェール自殺 |
||
1833 | 2月16日。マリユスとコゼット、結婚 ジャン・ヴァルジャンの死 |
||
1845 | ユゴー、子爵に。政治活動に身を置く | ||
第二共和制 | 1848 | 二月革命。 6月、ユゴー、議員に当選。 12月、ルイ・ナポレオン、大統領に。 |
|
第二帝政 | 1851 | ルイ・ナポレオン、クーデター ユゴー、イギリスへ亡命 |
|
1862 | ユゴー、「レ・ミゼラブル」出版 | ||
1870 | 普仏戦争 | ||
第三共和制 | ルイ・ナポレオン、プロシアの捕虜に。 ユゴー、パリへ帰還 |
||
1871 | パリ・コミューン |
ジャン・ヴァルジャンの軌跡。
より大きな地図で レ・ミゼラブル を表示