君の名は。

半月ほど前になるけど、映画「君の名は。」を観ました。
観たときは、巷でそんなにもフィーバーしていることは知らなかったのだけど。


最初、この映画の宣伝PVを本屋で見かけたとき、
男女が夢の中で入れ替わるというSFっぽい設定が気になりはしたのだけど、
新海監督だからな~、う~ん・・・
と二の足を踏んでいた。


秒速5センチメートル」と「ほしのこえ」の2つしか観たことないけど、
この監督の映画は、なんていうか・・・思春期をこじらせてる人向け?
そういう印象だったので、少し気になりはしたのだけど、見送っていた。


だけど、ある日、J-WAVEで少しこの映画の解説がされていて、
その解説の内容が気になったのと、J-WAVEで宣伝されるくらいなら、
思春期をとっくに抜け出した大人が観に行っても楽しめるんじゃなかろうか、
という淡い期待を抱き、それである日、会社を早めに上がって、
ひさしぶりに映画館に行ってみた。


夕方の早い時間だったせいもあると思うけど、
映画館の客層は学生や子連れファミリーで、
映画始まって、新海監督らしい思春期ちっくな主人公のモノローグが流れたときには、
(あぁ、やっぱり観るもの間違ったかなぁ・・・)
と、わずかな後悔を感じかけたけど、本編始まって最後まで見終わって、
うん、まぁ、悪くはなかったかな?
というのが感想。
なかなか一般受けするように、仕上げてきたね、新海監督。
走る女の子のシーンを入れてくるところに、あざとさもちょっと感じたり。
(男の人は、走る女の子が本当に好きだよね)


SF設定の部分については、細かなツッコミどころは色々あるけど、
そんな部分をこの監督には初めから求めていないので問題なし。
むしろ、「星のこえ」を尋常ならざるストレスを感じながら観た人間としては、
観る人間にストレスを感じさせることなく最後までテンポよく進んだことに、
監督の成長を感じたというか。(←さっきから上から目線)


そんなわけで、映画そのものは、良作かな、と思ったのだけど。



映画の間、
隣りのカップルの泣いて鼻をすする声が、すっごーーーくうるさくてですね、
正直、気が散るレベルで(--;


映画の中盤の主人公がヒロインの村に辿り着いたシーンからエンディングまで、
本当に、ずーーーーーっと、泣いてるんですよ、隣のカップル。


最初、隣りで鼻をすする音がした時、
どうにも泣くようなシーンには思えなかったので、
「ん?」と首を傾げた。
ちょっと衝撃の事実が明らかになったところではあるけど、
別に泣く要素なくない? オープニングで大人のヒロイン登場してるし。
どちらかというと、面白い展開に膝を打つところじゃないかと思うんだけど・・・。


(まぁ、でも人によって感じ方は違うしね、
 きっと感受性豊かなんだね、若いしね、おっけー、おっけー)
と最初は受け流した。


が。
そこから、ずーーーっと鼻をすする音が続くものだから、
(・・・今って、花粉症の季節だったっけ?)
と首を傾げた。


映画のストーリーは進行していくけど、
一向に泣く展開には思えない。


映画の始まる前のカップルの会話からすると、このカップル、
この映画をもう2,3回観ているようで、
とすると、もしかして、この後、衝撃の大どんでん返しの悲しい結末とかが待っていたりするんだろうか?
そんなことをちょと考えてみたりもしたけど、
物語は、何事もなく、実に素直にまっすぐにエンディングへ。


映画館が明るくなって、やっぱり花粉症だったりするんだろうか?
と、隣りのカップルをそっと見た。
そしたら、カップルはしっかと手を繋ぎながら、
「また、泣いちゃったねー」
なんて会話をしながら、男の子も女の子も泣いている。
(えっ、この映画のどこに泣く要素があったの!?)
思わず、まじまじと2人を見た。


もしかして、この2人の知人がこの映画の制作に関わっていて、
だけどその知人が最近に不慮の事故で亡くなってしまったとか、
そういうことだったりするんだろーか?
いや、たぶん違うよな。


首を傾げつつ、
(もう何回も観てて毎回泣いてるんだったら、
 ティッシュとか完璧に準備して、音を立てないような配慮とかしてほしいよなぁ)
なんてことを思いながら帰宅。


私以外の周りの人たちも、あのカップルの泣き声、うるさくなかったのかなー、
と思い、ふとTwitterで「君の名は」をキーワード検索してみた。
「『君の名は。』を観てきたけど、近くのカップルの泣き声がうるさくて集中できなかった」
みたいなつぶやきとかないかなー、と思ったのだ。(←ひどい)


そしたら、衝撃の結果。
「『君の名は。』を観てきた。泣ける
「やばい、『君の名は。』何度見ても泣ける
「『君の名は。泣ける。おススメ」
etc...
そんな、つぶやきがわらわらと検索結果に表示されるΣ( ̄□ ̄;;


えぇ!? みんな、どこに泣けたの!!??(汗)


私は何かを見落としているんだろーか?と思い、色々ネットを検索して
みんなの感想やら、批評やらを探してみる。
だけど、
「新海監督、大衆に媚びやがって。お前はそれでいいのか」
とか
「SF設定としてのココとかココとかが、ちょっと気になるよな」
とか、そういう批判的なコメントだと、色々と具体的な理由が書いてあるのだけど、
「泣ける」
「今までで見たきた映画で一番」
そういう賞賛系のコメントには、なんでそう感じたのか、ていう具体的な理由が書かれていない。


君たちはいったい、どの部分にどう反応して、
そんなにも泣いたり感動したりしているんだ!?


探してみたけど見つからないので、
賞賛系のコメントから拾える部分をなんとか拾って、考えてみた。


涙の理由?その1:綺麗な背景に圧倒されて
 たしかに、背景の綺麗さは本当に素晴らしいよね。
 今回は綺麗な背景に対して、キャラクターの画のレベルも合ってきて、画の完成度は本当に素晴らしかった。
 ・・・だけど、ジブリ映画に慣れ親しんだ日本人が、はたして背景の綺麗さだけで、涙を流すまでいくのだろーか?
 背景の綺麗さでいくなら、この監督の1つ前の「言の葉の庭」でも充分大ヒットしても良さそうだし。


涙の理由?その2: ヒロインが主人公に会いに行ったけど・・・のシーンに胸が痛んで
 たしかに、ちょっとかわいそうだし、胸がちくっとする人もいるかもしれない。
 でも、そこで終わりなわけじゃないんだから、そこまで涙を流すほどのことでもないよね・・・?


涙の理由?その3 :新海監督の成長と出世に涙して?
 自主制作アニメから初めて、こつこつと積み上げていって、ついにここまでのものを作り上げた新海監督に、
 昔からこの監督の映画を見続けてきたファンが涙して、とかだろーか?
 でも、どうも、泣いた泣いた言ってるのって、新海監督の作品を初めて観る層で、
 以前からのファンは賛否両論はあっても誰も泣いてない感じなんだよな・・・。


涙の理由?その4:震災を重ねて
 物語が震災をモチーフにしているのでは、ていう記事を読んで、
 観てるときは全然そんなことは思いもしなかったけど、たしかにそういう捉え方もできるよな、と思った。
 震災の体験を重ねて、涙してしまう人は確かにいるかもしれない。
 ・・・でも、そういう経験を持っている人って、日本の全人口の何%だ? 比率でいえば、そこまで多くないと思うし、
 そういう理由で涙する人たちが何度も繰り返しこの映画を観て、
 「泣けるからおススメ!」って周りにおすすめするとはあまり思えないのだよな・・・。


というわけで、考えたけど、やっぱりさっぱりわからない。


誰か、これ観て泣いたって人いたら
涙の理由を教えて。