在宅勤務な日々になるまでの話

4月上旬から、在宅勤務を開始しました。


3月末。
「ノートPCは業務の緊急度の高い人を優先して支給するから、君は我慢して」
と上司1(直属の上司が2名いるのでナンバリングしてます)から言われ、
安部さんの会見を見ていても、
緊急事態宣言は発令されないままズルズルいきそうな気がし、
この分だとコロナにかかるまで出社させられるんじゃなかろーか、という気がし。


「デスクトップPC、持って帰ってる人いるよ。言えばできるはずだよ」
持病があるために3月から在宅勤務を開始している同僚のOさんが言う。
そうか、その手があるな。よし、と思い、
「デスクトップPCを持って帰って在宅します!」
と上司1に言うと、
「お、おぅ・・・。そうか・・・」


そこから、一気にデスクトップPCを持って帰るための準備をしていると、
「え?デスクトップ持って帰るの? その手があるの?」
って感じの周囲の視線。


「デスクトップ持って帰るの、いけそう?
 俺のグループのメンバーもデスクトップを持って帰って在宅したいって
 言ってるから、前例作ってくれると助かるよ」
同僚のOさんが言う。
・・・オイコラ。前例あったんじゃなかったんかい!


「デスクトップを持って帰るの、お前がトップバッターだよ。
 その手があったか、とザワツキ始めてる」
上司2が言う。
どうやら、Oさんに乗せられたらしい。
「・・・わかりました。じゃあ、のんびりしていると、
 規約云々の面倒くさいことを言い出してくる人が出てくると思うので、
 その前に逃げ切ります!」
「それがいいだろうな。時間が経つほど面倒くさくなるはずだ。
 逃げ切って前例作って、後ろが続きやすいようにしてくれ」


宅配便の手配をすると、面倒くさそうな人に見咎められる危険が増すので、
家からリュックを持ってきて、そこにデスクトップPCとキーボードを突っ込む。
タクシー乗り場まで手伝うよ、と上司2がディスプレイを持ってくれ、
テナントビル下のタクシー乗り場へ。
「じゃあ、次会う時は、お互い自宅からのリモート越しであることを願って」
戦地で交わすかのような別れの挨拶を交わして、そうして自宅へ。


私が無事、自宅へ逃げ切った翌日。
デスクトップを持って帰ることは公式になったらしいけど、
自宅への配送は専用の宅配便を使わないといけないルールになったらしい。
「私も家が近いのでタクシーを使いたいって言ったんですけど、管理部から
 NGが出ました。宅配便は予約いっぱいですぐには送れないんですよね・・・」
OさんのグループのTさんが、チャットで残念そうに言った。
「タクシーで持ち帰った前例あるって言ってみたら?」
「はい、言ったんですけど『それはただの噂です』って返されました・・・」


ただの噂。


ただの噂となった私のタクシー代の立替申請、
上司はちゃんと承認してくれるかなー。


* * * * *


そんな感じの会社ではあったけど、その2日後には緊急事態宣言が発令され、
なんのかんので、4月下旬には無事、
8割方の社員は在宅勤務に切り替えられたようで、
上司とも無事、お互いの自宅からリモート越しに会話してます。