近畿ツーリング・中編

10月23日(火) 「雨」の日

前夜、宿に到着すると、
「明日は雨みたいですね。このあたりは夕方まで何とかもつみたいだけど、
 北の方は早くに降り出すんじゃないかなー」
と宿の人に言われる。

事前にチェックしていた天気予報では、
天気が崩れるのは水曜だったのだけど、雨の予定が早まったか!?

厳密な計画は立てずにきたけど、何となく考えていた計画は、
月曜:和歌山の海辺ルート
火曜:奈良の山間ルート
水曜:伊勢参拝(雨降ってたら徒歩コース)
というものだった。

火曜は奈良の山間部を走ろうと考えていたが、
うーむ、雨が降り出す前に一気に伊勢まで行くことにするか・・・。

というわけで、伊勢のホテルを予約して、
眠りにつく。


そして、火曜の朝。
目を覚ますと、
ざーざー
と雨の音がする。

うぉぉっと、もう降り出している!?
天気予報の雨雲レーダーをチェックすると、
雨雲が南から北へ向かって伸びながら移動している。

南から天気悪くなってるじゃん!


雨雲レーダーの予想を見ていると、
伊勢で降り出すのは夕方以降、
ここらは14時くらいにいったん少しやむかも。
という感じ。

しゃぁない、
雨に濡れるのは避けられないか。

というわけで、こういう計画を立てた。
午前 太地町のくじら博物館
午後 伊勢に向けて北上(運良ければ、雨の隙間を縫って走れるかも?)


まずは、宿から15分くらいのくじら博物館へ。

3階建ての建物。
1階フロアの天井に、いきなりくじらの骨がぶら下げられて、おぉっという感じ。
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2階はくじらの進化の過程や生態についての展示、
3階はくじら漁の歴史についての展示。
地元の小学生とかが社会科見学で来るような感じ。


太地町シーシェパードに困らされている町
というイメージだったので、それ関連の何かもあるのかなー、と思ったけど特になく。
ただ、くじら漁の歴史の中で、
世界の捕鯨の歴史や捕鯨に関する条約の流れについても合わせて淡々と説明されていた。

大人の対応ってこういうものかなー、と思いながらそれらの説明文を読んでいると、
「ただいまより、イルカショーを行います」
とのアナウンス。
ん?そんなものがあるのか。

普段、動物園とか水族館とかの生き物系アミューズメントには興味ないので
イルカショーとかあまり見ないのだけど、
今日は、旅の一環として見てみるか。


小雨の降る中、屋外のイルカプール前へ。
雨の平日のせいか、お客さんは私のほかに、夫婦一組のみ。
くじらの博物館で、どうしてイルカショーなのだろう、と
思いつつも、楽しそうに跳んだり跳ねたりするイルカは確かに可愛かった。
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そうして、イルカショーを見終えて、建物の中に戻って、残りの展示物を見ていると、
「ただいまより、くじらショーを行います」
のアナウンスが。
おぉっと、さすが、くじら博物館。やはり、あるのだね、そういうのが。


くじらプール前へ行くと、
いつのまにやら来たのか、プール前は中国の団体様で賑わっている。

日本を旅していると、数年前から海外からの旅行客が増えたなー、と思うけど、
こう日本人的にマイナーな場所が海外旅行客で賑わっているのを見ると
その勢いをしみじみと実感する。

クジラプール前でテンション高くいる団体客を眺めながら、
いったい、どんなツアー文句で、このテンションを導き出しているんだろう、
日本人に対しても適用できないものだろうか、と考える。
『バスで巡る伊勢半島! 午前中は日本唯一のクジラショー!!』
・・・うーん、弱いな。


ショーの方は、
3頭のクジラによるショー。
クジラの種類について説明されて、その後にクジラが跳んだり泳いだりする形式でクジラの紹介という感じ。

イルカショーと続けて見ると、
巷にイルカショーがたくさんある理由がわかる。
イルカもクジラも、どちらも、餌を上げて使役しているけれど、
あきらかにイルカは楽しそうにしてたなー、というのがわかる。
クジラは、3頭のうち1頭は最後まで演技せずに、じっとしてた(笑)


プールの中に浮いた桟橋の上から間近に見る形だったので、
係の人の持ってる餌の中身も見れた。
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あぁ、やっぱり肉食なのだよね。

コレを見てから、
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こう大きく開いたお口を見ると、うん、怖いわ。


くじらショーを見終えて、博物館を後にして北上開始。

天気予報の雨雲レーダを見ると、まだ北の方は雨が降っていない。
真っ直ぐ北上すれば、昼過ぎには雨雲を追い越せるかもしれない。

そんなわけで、雨の中、ひたすら北へ北へ。


14時過ぎ、やっと雨雲を追い抜き、
目に入った道の駅で休憩。

道の駅「木つつ木館」。
隣接して神社の鳥居があるのが気になった。
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「そんな小さなバイクでどこから来たんだー?」
道の駅に入ったところで、モンキーの後ろを走っていたらしいおじちゃんに声をかけられる。

このあたりに住むおじちゃんで、
おじちゃんも昔、バイクでこのあたりを色々走っていたらしい。

横浜から来たことと、これから伊勢に行こうと思っていることを話すと、
伊勢のことを色々教えてくれた。
「チョウコカンに行くといいよ。ゲクウとナイクとチョウコカンが三角形の位置関係だな」
ゲクウ?ナイク??
伊勢神宮について下調べしないで来たので、ここで、
伊勢神宮には外宮(げくう)と内宮(ないくう)があることを初めて知る。

伊勢神宮、半日コースかなと思っていたけど、
これはどうやら一日コースだな。


「そこの瀧原宮伊勢神宮の縁の宮だよ」

おじちゃんがそう教えてくれて、どう縁なのかイマイチよくわからなかったけれど、
そうか、縁ならば、ここはやはりお参りに行っておこう、とおじちゃんと別れて向かう。


道の駅に隣接しているところだから、小ぢんまりしたお稲荷さんくらいのを想像していたら、
意外にしっかりと並木の参道が続いて、その奥に、白い綺麗な四つの宮が並んでいた。
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お参りを終えて、再び道の駅に戻り、
どうやら伊勢が一日コースのようなので、伊勢のホテルの予約を一日延泊する。
明日一日はお伊勢まわりだな。


そうして、再び走り出して、伊勢へ。
道の駅から伊勢までの道は、幸いにも雨には降られず。


夜は、道の駅で会ったおじちゃんが
「ライダーは伊勢に行くと、必ずこの店で食べる」
と教えてくれたお店で夕飯。


とても賑わっていたので、5人組と相席。
5人組は茨城から来たとのこと。
みんな年齢がまちまちで、スーツを着ていたので、最初、会社の出張かと思ったら、
地元の気の合う仲間で旅行に来たらしい。

なんでスーツ着てるんですか、と聞いたら、
伊勢神宮は正装して1000円以上のお布施をすると、内側に入れてもらえるんだぞ」
とのこと。
「だけど、大体はみんな旅行で私服で来るから、このこと知らないんだよね」
5人のうちの1人、もらった名刺には社長の肩書きのあったおじちゃんが、
お参りはご利益があるんだぞ、と力説してくれた。


スーツ持ってこなかったなー、次回は持ってくるかー。

そんなこんなで、伊勢の夜は更ける。

(つづく)

10月23日(火) 走行ルート
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