前回、マリユスくん批判をつらつら書いてしまいましたが、
まぁ、要は、
私はマリユスがあまり好きではない、
というだけの話かもしれない( ̄ー ̄;
じゃあ、逆に、誰が好きだったのか、というと、
ジャヴェール。
実際に身近にいたら、
ちょっと困るし、たぶん共生はできないだろう、
とは思うのだけど、この物語の中で、
ジャン・ヴァルジャンと並んで、もしかしたらそれ以上に、
惹かれる人だった。
なんでだろう?
卑怯でないところ、真っ直ぐなところ、
そこに惹かれるのかな?
その真っ直ぐさゆえに行ってきたこと自体に賛同はできないけれど。
彼の辿る最期については、昔『ああ無情』を読んで知っていたけど、
どうして、どのような経緯で、
ジャヴェールが、その道を辿るのかが児童書には描かれていなくて、
ずっとそれが気になっていた。
そして今、きちんとそこに至る内面の経緯までを読んで、
その最期の場面を読んで。
哀しみのような、同情のような、悔しさのような、
でも決して責められない、
そんな感情が、ないまぜになったような、
何とも言えない気持ちになった。
真っ直ぐにレールの上を歩いてきて、
それが正しいことだと信じて疑わずにきていて、
それがいきなり、レールも何もないところに放り出されて。
信じていたものが、全て不確かなのだという真実を突き付けられて。
自分の目の前にいきなり広がった、その新しい世界で歩み始めるには、
ジャヴェールはあまりに純粋で真っ直ぐで、
そして脆かった。
思えば、ジャヴェールとジャン・ヴァルジャンは、とても対照的だよね。
ジャン・ヴァルジャンも司教に会って、
ジャヴェールと同じような、自分のそれまでの価値観が全て粉々に砕ける経験をした。
だけど、ジャン・ヴァルジャンは、もがき苦しんだその後で、
新しい世界で歩き始めた。
だけど、ジャヴェールに
ジャン・ヴァルジャンのようにあれたら、
なんて望むことはできない。
だって、ジャン・ヴァルジャンのその後の人生を考えると、
新しい世界で歩くことが、単純に幸せなものとは言い切れない。
ジャン・ヴァルジャンのとった道っていうのは、
とても光輝なものだけど、
たやすくオススメできる道ではない。
だけど、それでも。
もしも・・・。
そう思う気持ちが、やっぱりあるから、
哀しくて悔しいんだと思う。